こんにちは、フジビジネス広島です。
いつもは納品事例をご紹介していますが、今回から新しいシリーズを始めます。その名も「わりとなんでも相談室」。
当社は事務用品からオフィス家具、図書館用品、防災用品まで、「わりとなんでも」扱っている会社です。そのぶん、お客様から日々いろいろなご質問やご相談をいただきます。このシリーズでは、そんな現場でよくいただくご質問や、営業スタッフが訪問先で「これはお伝えしたい!」と感じたことを、ひとつずつ記事にしていきます。読んでくださった方が「うちも当てはまるかも」「ちょっと見直してみよう」と思えるきっかけになれば、それがこのシリーズの狙いです。
第1回のテーマは、図書館・学校図書室の本棚の地震対策です。ちなみに図書館の世界では、本棚のことを「書架(しょか)」と呼びます。この記事では親しみやすく「本棚」でお話ししますね。
実はうちのスタッフ、防災士と施工管理技士の資格を持っていまして、図書館や学校を訪問するたびに、つい本棚の固定具合をチェックしてしまうクセがあります(職業病ですね)。今日はその「現場で見ているポイント」を、そのままお話しします。
「地震対策」と一言で言ってしまいがちですが、図書館の本棚で本当に防ぎたいのは、地震そのものではなく、地震のあとに起こることです。現場では、大きく3つを想定しています。
1. 人が挟まれる・下敷きになるのを防ぐ
図書館には子どもからお年寄りまで、たくさんの利用者がいます。背の高い本棚が倒れれば、人が下敷きになったり、倒れた本棚が通路をふさいで避難の妨げになったりします。過去の大きな地震では、けがの原因の3〜5割が家具の転倒・落下によるものだったとも言われています。まず守るべきは、人です。
2. 本の落下によるけがと、本の傷みを防ぐ
本棚が無事でも、本が勢いよく飛び出してくれば、それだけでけがにつながります。そして落ちた本は、角がつぶれたり、ページが折れたり、傷んでしまいます。図書館の本はみんなの財産。資料を守ることも、大切な目的のひとつです。
3. 災害後の片付け・復旧を軽くする
数万冊の本が床に散乱した図書館を、元に戻す作業を想像してみてください…。本が落ちなければ、地震のあと、図書館は早く再開できます。「災害後にいかに早く日常へ戻れるか」まで含めて、対策なんです。
つまり、「人を守る・本を守る・早く復旧する」。この3つのために、これからお話しする対策をしていきます。
先に結論をお伝えすると——
いちばん気をつけたいのは、フロアの真ん中に「置いてあるだけ」の背の高い本棚。対策は「壁への固定」と「本棚同士の連結」が基本。予算がなくても、本の置き方を変えるだけでリスクは減らせます。
それでは、順番に見ていきましょう。
図書館を訪問して「おっ、これはちょっと気になるな」と感じるのは、固定されていない背の高い本棚です。
壁ぎわの本棚は、設置のときに転倒防止の処理がされていることが多いんです。気になるのは、フロアの真ん中あたりに、固定せずポンと置いてあるタイプ(中置き書架といいます)。
とはいえ、すべてが危ないわけではありません。ざっくりした目安がこちらです。
ちなみにこの目安、消費者庁が公表している「本棚等の転倒防止策について」という基準に当てはめて計算しても、ほぼ同じ結果になります。現場の肌感覚と公的な基準が一致しているわけですね。ただし、これはあくまで一般的な目安です。実際の揺れの大きさや床の状態、本の載せ方によっても変わりますので、「120cm以下なら絶対に安全」というわけではない点はご承知おきください。
みなさんの図書館、通路の真ん中に背の高い本棚が「置いてあるだけ」になっていませんか?
「うちは床にアンカーを打って固定してるから大丈夫」——そう思われた方、ちょっとだけお付き合いください。
実は、背の高い本棚の場合、床固定だけでは心もとないことがあるんです。地震で本棚の上のほうが大きく揺れると、床の固定金具に力が集中して、外れてしまうおそれがあるためです。
その点、壁に固定してあれば、上部が大きく揺れること自体を防げます。チェックの順番はこんな感じです。
※誤解のないように補足すると、床固定がムダというわけではありません。本棚のサイズや載せている本の重さによっては、床固定でも十分な場合があります。書架メーカーさんも「床への固定・壁への固定・連結」の組み合わせを基本としています。ポイントは、背の高い本棚を床固定「だけ」で済ませないこと、です。
先ほどの目的の2つめと3つめ——けがの防止、本の保護、そして災害後の片付けの軽減に直結するのが、本の落下対策です。
落下防止バー:効果はいちばん高いです。ただ、お使いの本棚に取り付けられるかどうかの確認が必要で、お値段もそれなりにかかります。
滑り止めシート:図書館用品メーカーからも出ている、棚の手前に貼るテープ型や、棚に敷くシート型の商品です。お手頃なわりに効果が期待できて、コスパで選ぶならこちらだと思います。
「対策したいけど、予算が…」というお声、本当によくいただきます。わかります。
そんなときにまずおすすめしているのが、本の置き方を変えることです。
図鑑や辞典のような重たい本はなるべく下の段へ。上の段には軽い本を。これだけで本棚全体の重心が下がって、倒れにくくなります。重い本が高いところから落ちてこない、という意味でも安全です。かかる費用はゼロ、今日からできます。
正直にお伝えすると、本の落下防止を「完全に費用ゼロで」となると、できることは限られます。棚の手前に両面テープを貼るという裏ワザ的な方法もなくはないのですが、推奨されるやり方ではないですし、見た目も微妙なので…ここは少額でも予算を取って、滑り止めシートをご検討いただくのが良いと思います。
最後に、施工管理技士の立場から。実際に固定工事をご依頼いただくときのポイントを3つだけ。
その1:本棚は事前に空っぽにしておいてください。 大切な蔵書の移動は、施工業者側では責任を負いかねるため、お客様にお願いすることになります。工事の日程を組むときは、本の移動時間も見込んでおいてくださいね。
その2:「床にアンカー打てばいいんじゃないの?」は、けっこう言われます(笑)。 でも業者側は、万が一の事故を防ぐ観点から、安全寄りの提案をすることが多いです。壁がコンクリートなのか石膏ボードなのかでも話が変わりますし、本棚はかなりの重量物なので「壁だけではしっかり止められない」というケースもあります。このあたりは現場次第です。
その3:お見積もりは、レイアウトを決めて、現場を見てから。 同じ本棚でも、置き場所や壁の状態でベストなやり方が変わります。当社では施工管理技士の資格を持つ担当者が現地を確認して、その現場に合ったご提案をしています。
Q. 高さ何cm以上の書架(本棚)から対策が必要?
A. 目安として、高さ150cm以上の中置き書架は天つなぎや連結などの対策をおすすめします。高さ120cm程度・奥行60cm程度あれば、転倒の可能性は高くありません。
Q. 床固定だけじゃダメなの?
A. 本棚のサイズや重さによっては床固定でも効果がありますが、背の高い本棚は揺れで金具に負荷が集中することがあります。壁固定や連結・天つなぎとの併用をおすすめします。
Q. お金をかけずにできる対策は?
A. 重い本を下の段に、軽い本を上の段に置き換えることです。費用ゼロで今日からできます。
Q. 本の落下防止でコスパがいいのは?
A. 図書館用品メーカー製の滑り止めシート(貼るタイプ・敷くタイプ)です。効果最大は落下防止バーですが、費用との相談になります。
まとめると、書架の地震対策の目的は「人を守る・本を守る・早く復旧する」。そのために、「壁固定と連結を最優先に。予算がなければ、まず本の置き方から」です。
「うちの本棚、大丈夫かな?」と気になった方、点検だけでもお気軽にご相談ください。防災士・施工管理技士の資格を持つ担当者が、書架の耐震チェックから固定工事、落下防止用品の選定までお手伝いします。
次回の「わりとなんでも相談室」もお楽しみに。
参考:消費者庁「本棚等の転倒防止策について」(2010年)、東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」
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